すぽんさーどりんく

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イレウス患者の標準看護計画

イレウス患者の標準看護計画


イレウスとは

 胃腸管内容の移動がなんらかの病的変化によってさまたげられた状態で機械的閉鎖が原因である場合は機械的イレウス、腸管の機能異常に基づく場合は機能的イレウスという。
 なかでも最も頻度の高いのが癒着による機械的イレウスで、開腹手術後に多い合併症である。

アセスメントの視点

 イレウスは腹痛・嘔吐・腹部膨満などの身体的苦痛の他に、絶飲食による精神的苦痛が加わり、さらに保存療法にて症状が改善されない場合や、絞扼性イレウスと診断された場合は手術適応となるので、手術に対する不安も生じてくると思われる。



症状

1.腹痛
腸間膜の絞扼による絞扼痛、閉塞上部腸管が過伸展して起こる伸展痛、腸管壊死に起因する腹膜炎のための炎症性疼痛などがある。
2.嘔吐
初期には吐物に胃液、食物残渣、胆汁などが混じるが、だんだん糞臭をおびるようになる。
3.腹部膨満
腹部は時間の経過とともにしだいに膨満し、腸蠕動不安が著明となる。腹部膨満により横隔膜が挙上されることにより呼吸困難を訴えてくる場合もある。
4.排ガス,排便の停止
診断上重要なものであるが、閉塞下部にあったガスや便が排出されることがあるので注意する。

検査

・腹部単純X線写真
・連続腸透視
・生化学検査及び血液一般検査

治療

1.保存的療法
イレウス管・胃管の挿入により腸管の減圧をはかり、また栄養輸液によって電質異常の補正もおこなっていく。
2.手術療法
腸管内外の原因の除去、腸切除がおこなわれる。

分類

1.機能的イレウス
 1)麻痺性イレウス
 2)痙攣性イレウス

2.機械的イレウス
 1)単純性イレウス
  ・癒着性イレウス
  ・腫瘍によるイレウス
  ・炎症性疾患によるイレウス
  ・先天性イレウス
  ・異物性イレウス
 2)複雑性イレウス
  ・絞扼性イレウス
  ・腸重積症
  ・軸転不通症
  ・腸嵌頓症
  ・腸結節形成症


看護計画(術前)

Ⅰ.アセスメントの視点

 イレウスによる合併症として、腹痛・嘔吐などの腹部症状、体液・電解質の喪失による循環不全、敗血症に注意する。イレウス患者に対しては、まず保存療法として、輸液や抗生物質の投与、イレウス管・胃管の挿入が行われる。保存療法にてイレウス症状が改善されない場合や、絞扼性イレウスと診断された場合は手術適応であり、緊急手術となることが多い。
 そのため患者の不安はより強くなり、栄養状態の確保や、家族のサポ-ト体制を整えるための十分な時間が得られにくい。短い期間でできるだけ身体的・心理的・社会的にも最良の条件を整えられるような援助が必要となる。

Ⅱ.問題リスト(術前)

#1.疾患や手術に対する不安
   [要因]・腸管内容の通過障害による腹部症状(腹部膨満、嘔吐、腹痛)の出現
       ・保存療法では改善できなかったことへの不安
       ・緊急手術、入院という予期しなかったことへの遭遇
       ・保存療法や手術についての知識不足
       ・社会的役割の変化
       ・手術後の疼痛や苦痛
       ・手術後の変化の程度と範囲

#2.栄養状態や、体液・電解質の変調
   [要因]・腸管内容の通過障害による食事摂取不足
       ・イレウスと診断後は絶飲食
       ・腸管内圧が高まり、水分が腸管内に大量に漏出する
       ・既往歴
       ・手術歴(術後の癒着によるイレウスの場合が多い)
       ・高齢
       ・活動の不足(腹部症状による苦痛のため)

#3.術後感染の危険性
   [要因]・腸内細菌の増殖
       ・腸管拡張により透過性が高まり、細菌が血行に流入する
        (敗血症、エンドトキシンなど)
       ・低栄養

#4.家族の不安
   [要因]・家族内の役割の変化(サポ-トシステムの不足)
       ・緊急入院、手術
       ・経済面への不安
       ・患者と家族間の人間関係

Ⅲ.看護目標(術前)

1.術前検査の測定値が改善する
2.処置・手術の必要性が理解でき、現状を受け入れられる
3.患者が合併症予防のための行動をとれるようになる
4.家族の不安が軽減し、患者をサポ-トする立場に立てる

Ⅳ.看護問題(術前)

#1.疾患や手術に対する不安
 &検査、処置の必要性、方法が十分理解でき不安なく受ける事ができる
  環境の変化に適応できる
  疾患についての理解ができ、現状を受け入れられる
  手術の必要性が理解でき、安心して手術を受けることができる
  患者の思い(不安や恐れ)を言葉で表現できる
  術前・術後の自分の状態がイメ-ジでき、対処方法を言葉で表現できる
 $手術前日

O-1.腹部症状(腹痛、嘔吐、腹部膨満感など)による苦痛の程度
     腹部X-P、腸管内ガス像の有無
     排便・排ガスの有無
  2.入院生活への適応状況
  3.疾患、術前検査、手術に関する患者の情報量と理解度
  4.イレウス管挿入に対する理解度、受け入れ状況
  5.表情、言語、態度の表出状況と不安の程度の関係
  6.睡眠状況
  7.サポ-トシステムの状況
  8.家族からの情報、家族の受け入れ状況
  9.患者の性格、対処行動と対処能力

T-1.医師の指示により、鎮けい剤・蠕動亢進剤の投与
  2.腹部症状に対して温罨法や体位の工夫
  3.入院生活上可能な範囲で環境調整する
  4.医師から十分説明を受けることができるように配慮する
  5.疾患、術前検査、手術に関して、患者が必要とする情報を提供する
  6.家族の援助が得られるよう必要時参加を求める
  7.患者や家族の訴えを傾聴し、受容的態度で接する
  8.静かに休息のとれる環境を作る

E-1.術前オリエンテ-ションを行う
  2.医師の説明で理解不足の内容があれば追加説明し、納得を得る
  3.検査、処置の必要性をわかりやすく説明して協力を得る

#2.栄養状態や、体液・電解質の変調
 &十分な補液が行われ、安定した循環動態が維持できる
  身体機能の維持に必要な栄養状態を保つことができる
 $手術前日

O-1.バイタルサイン(血圧低下、頻脈、呼吸促迫)
  2.尿量減少
  3.吐物の量、イレウス管からの排液の量
  4.intake-outputのバランス
  5.血液検査デ-タ
    ・低栄養状態のコントロール:TP≧6.0mg/dl,Alb≧3.0mg/dl
    ・貧血・脱水状態のコントロール:Hb≧10mg/dl,Ht≧30%,RBC≧350万/mm3、Na≧142mEq/L、K3.6~5.0mEq/L以内

T-1.異常時医師に報告する
 2.高カロリ-輸液または輸液の管理を行なう
 3.保温、室温の調整
 4.倦怠感が強いときは日常生活で危険がないように、また必要時ADLの介助を行なう
 5.緊張感や恐怖心を持たせないよう、落ち着いた態度で接する。

E-1.輸液の必要性や、施行時の注意事項を説明する
  2.現在の状況を理解できるように説明する

#3.術後感染の危険性
 &術前に感染症状を起こさない
  皮膚の毛根に潜む常在菌をなくし、分泌する汗、脂質、たんぱく質を除去する
  栄養状態が改善される(#2に準ずる)
 $手術前日

O-1.バイタルサイン(悪寒戦慄を伴う高熱、頻脈)
  2.血液検査デ-タ(WBC,CRP増加、Hb低下)
  3.確実に抗生物質が投与されているか
  4.スキンチェック、傷などないか
  5.抗生物質投与、皮膚の清浄の必要性に対する理解度を把握する

T-1.医師の指示により、抗生物質を確実に投与する
  2.剃毛、臍処置を行なう
  3.全身清拭、洗髪、手浴、足浴、爪切りを行なう

E-1.抗生物質の投与、皮膚の清浄化の良否が、感染にかかわる事を説明する

#4.家族の不安
 &家族ケア、家族サポートをとおして患者が支えられる
 $手術前日

O-1.家族の表情、言語による表現、態度
  2.家族と患者のコミュニケーション
  3.家族、患者間の疾病の理解、認識の差
  4.家族間のサポートシステム
  5.家族の状況判断能力
  6.家族がとらえている患者の性格傾向、コーピング
  7.経済的問題の存在
  8.疾患、検査、治療に対する理解度

T-1.家族とコミュニケーションをとり、不安や心配事を表出しやすいように受容的態度でかかわる
  2.家族の考えと医療者の考えの間に違いはないか、また患者の考えを尊重してかかわる方法について相談し検討する
  3.家族内で起きている問題の対処ができているか、解決困難なときは相談に乗る
  4.疾患、検査、治療に対する理解度

E-1.家族が患者の今後についてイメージできるように、術後の状況、入院期間、社会復帰の時期などについての知識を与える
  2.家族に患者のサポートの必要性を説明する


看護計画(術後)

Ⅰ.アセスメントの視点(術後)

 イレウスに対する手術は閉塞部位の解除が目的であるが、閉塞部位が解除されたからといってそれまで腸内に貯留していた内容物が排除されたわけではない。麻酔による意識レベルの低下、胃管留置による気道刺激、不快感、胃からの逆流や嘔吐、腹部膨満による呼吸抑制がもたらす肺合併症などをおこしやすい状況が術前よりもさらに多くなる。バイタルサインのチェックのほかに、特に胃管からの排液量、尿量、排便、排ガスの有無などに注意する必要がある。

Ⅱ.問題リスト(術後)

#1.術後出血
   [要因]・手術操作による消化管出血
       ・手術操作による腹腔内出血

#2.肺合併症
   [要因]・麻酔剤による分泌物の増加や貯留
       ・疼痛や腹部膨満による呼吸抑制
       ・イレウス管または胃管留置による口内の不潔
       ・不十分な咳嗽力による分泌物の貯留

#3.縫合不全

   [要因]・吻合部の血行障害
       ・腸穿孔や腸壊死による腹腔内感染
       ・腸管内圧の上昇
       ・術前の低栄養

#4.多量の排液、嘔吐などによる水分・電解質異常がもたらす循環不全(脱水、ショック)


#5.腸蠕動の低下・麻痺性イレウス
   [要因]・全身麻酔による腸管麻痺
       ・手術操作による腸管刺激
       ・腹腔内感染
       ・鎮痛剤の使用
       ・疼痛やドレ-ン留置による体動制限や離床の遅れ

#6.疼痛、チュ-ブ類の拘束によるストレスや睡眠障害

#7.セルフケア不足
   [要因]・疼痛、不快感の存在
       ・体力及び持久力の低下
       ・身体運動性の障害(疼痛、体動制限)

#8.経口摂取開始による排便コントロ-ル不良

#9.腸切後の腸管の機能低下による消化吸収不良症候群

#10.退院後の日常生活の不安
   [要因]・食生活パタ-ンの変化
       ・排便コントロ-ル


Ⅲ.看護目標(術後)

1.症状の観察や異常の早期発見に努め、術後合併症をおこさない
2.苦痛や不安の軽減に努める
3.食事や排便コントロ-ルを中心に生活指導を行い、退院に向けて準備できる

Ⅳ.看護問題(術後)

#1.術後出血
   [要因]・手術操作による消化管出血
       ・手術操作による腹腔内出血

  &創部、イレウス管または胃管、ドレ-ンからの出血の早期発見ができる
  $術後~48時間

O-1.バイタルサインチェック
  2.ガ-ゼ汚染の有無、症状
  3.イレウス管または胃管からの出血の有無、性状
  4.腹腔ドレ-ンからの出血の有無、性状
  5.腹部膨満、下血、吐血
  6.ショック症状の有無(血圧低下、頻脈、脈お緊張の低下、呼吸速拍、尿量の減少、チアノ-ゼ、四肢冷感、意識レベルの低下、低体温)
  7.悪心、嘔吐
  8.腹痛(部位、程度)
  9.血液デ-タ(Hb,Ht、血小板、プロトロンビン時間)

T-1.医師に報告する
  2.安静度を確認し、体位交換はゆっくり行う
  3.出血している場合は、患者に不安を与えないよう落ち着いた態度で手早く対応する
  4.一旦止血した後に再出血することがあるため、引き続き観察を十分に行う

E-1.出血時には患者、家族に不安を与えないように言動に気をつけ、医師より状況を説明してもらう
  2.処置時は声かけをし、その都度必要性を理解できるように説明する
  3.安静制限のある際は必要性を説明し、体を動かしたい時は看護婦に声をかけるよう
言う

#2.肺合併症
   [要因]・麻酔剤による分泌物の増加や貯留
       ・疼痛や腹部膨満による呼吸抑制
       ・イレウス管または胃管による口内の不潔

  &口内を清潔に保ち、喀痰喀出が自力ででき、呼吸状態が正常となる
  $術後1日~7日まで

O-1.麻酔の覚醒状態
  2.呼吸状態(呼吸数、リズム、深さ、胸郭の運動、呼吸困難)
  3.肺雑音の有無
  4.喀痰喀出状況と性状、量
  5.バイタルサイン
  6.創痛の程度、鎮痛剤の効果
  7.口内乾燥または汚染の有無
  8.intake-outputのバランス
  9.胸部X-P、血液ガス値、WBC等の検査デ-タ

T-1.酸素吸入の実施
  2.体位変換
  3.吸入 3~4回/日
  4.咳嗽を促し、喀出時は腹部を両手で固定し援助する
  5.必要時タッピング、バイブレ-ション、吸痰を行う
  6.効果的な鎮痛剤の使用
  7.深呼吸を促す
  8.含嗽を行い口内を清潔に保つ

E-1.深呼吸、咳嗽の指導をする
  2.喀痰喀出の必要性を説明する

#3.縫合不全
   [要因]・吻合部の血行障害
       ・腸穿孔または腸壊死による腹腔内感染
       ・消化管内圧の上昇
       ・術前の低栄養

  &ドレ-ン、創部からの異常な排液や、創部の発赤、異常な発熱がない
  $術後3~10日

O-1.腹腔ドレ-ンからの排液量、性状、臭気
  2.イレウス管または胃管からの排液量、性状
  3.発熱、頻脈
  4.創部の観察
  5.腹膜炎症状の徴候の有無と程度(腹痛、腸蠕動、腹部膨満、採血デ-タ)
  6.腹部X-P、術後透視の結果
  7.食事開始後の発熱やドレ-ンからの異常排液の有無

T-1.腹腔ドレ-ンの誘導、イレウス管または胃管の吸引を定期的に行い、排液があるかどうか確認する
  2.ドレ-ンの逆行性感染予防のため、ドレ-ン挿入部より低い位置に排液容器を設置し逆流させない
  3.縫合不全発症時は医師の指示により、経口摂取を中止し輸液の管理を行う
  4.異常排液のドレナ-ジと必要時皮膚の保護をする(スキントラブルがある場合ハイドロコロイドドレッシング等で保護)

E-1.経口摂取中止の必要性と急激な体動を避けるように指導する

#4.多量の排液、嘔吐などによる水分・電解質異常がもたらす循環不全(脱水、ショック)
  &循環動態や電解質バランスが安定した状態で維持することができる
  $術後~48時間

O-1.バイタルサイン(血圧低下、頻脈、脈圧の低下、呼吸速拍)
  2.ショックの徴候(尿量の減少、チアノ-ゼ、四肢冷感、意識レベル)
  3.採血デ-タのチェック
  4.intake-outputのバランス
  5.ECGモニタ-の観察
  6.腹腔ドレ-ン、イレウス管または胃管からの排液の量、性状、創部のガ-ゼ汚染の観察
  7.口渇の有無
  8.心理面(不安、緊張)

T-1.医師に報告する
  2.輸液の管理
  3.緊張感や不安を持たせないよう落ち着いた態度で接する

E-1.患者の不安を軽減させるために状況を理解できるように説明する

#5.腸蠕動の低下・麻痺性イレウス
   [要因]・全身麻酔による腸管麻痺
       ・手術操作による腸管刺激
       ・腹腔内感染
       ・鎮痛剤の使用
       ・疼痛やドドレ-ン留置による体動制限や離床の遅れ

  &排ガス、排便があり腹部膨満感が消失する
  $術後2~7日まで

O-1.嘔気、嘔吐、腹痛、腹部膨満感、吃逆の有無と程度
  2.排ガス、排便、腸グル音の有無
  3.イレウス管または胃管の排液量、性状
  4.腹部X-P
  5.体動の状況

T-1.安静度の範囲内で体位変換、早期離床が必要であることを説明する

E-1.術後の腸蠕動促進のために、体位変換、早期離床が必要であることを説明する

#6.疼痛、チュ-ブ類の拘束によるストレスや睡眠障害
  &効果的に鎮痛が図られ、夜間安眠が得られ、穏やかに過ごせる
  $術後~7日まで

O-1.疼痛の部位や程度、鎮痛剤の効果
  2.睡眠障害の有無、睡眠薬の効果
  3.睡眠不足に随伴する症状の有無(頭痛、倦怠感、無気力感、思考力の低下)
  4.ICUシンドロ-ムの症状の有無(幻覚、幻聴、不穏行動)

T-1.鎮痛剤または睡眠薬の使用と効果の確認
  2.昼夜逆転しないように日中はできるだけ起こしておく
  3.睡眠がとれるように環境を整える(室温、照明、騒音)
  4.ストレスがある場合はその要因を把握する
  5.安静度の範囲内で日常生活行動を拡大し、気分転換を図る
  6.体動、離床の際、チュ-ブ類が十分な長さがあるか確認する

E-1.コミュニケ-ションをとり、不眠、ストレスの原因は何か、どうしたいか話し合う

#7.セルフケア不足
   [要因]・疼痛・不快感の存在
       ・体力及び持久力の低下
       ・身体運動性の障害(疼痛、体動制限)

  &許可された範囲内で状態にあったセルフケアができるようになる
  $術後3~7日

O-1.清潔行動、移動行動、排泄行為等の行動能力の程度
  2.身体、口内の汚染状況
  3.術後の一般状態と経過
  4.疼痛、倦怠感の程度と鎮痛剤の効果
  5.褥創の好発部位の皮膚の状態

T-1.毎日の全身清拭
  2.含嗽、口内清拭、または歯磨介助
  3.ベッド周囲の環境整備
  4.ベッド上で四肢の自動運動を促す
  5.医師の許可のもと離床を図る
  6.一般状態や離床状況に応じてバルンカテ-テルを抜去し排泄介助を行う
  7.効果的な鎮痛剤の使用

E-1.離床計画とその必要性について患者に伝え、術後の状態により活動可能な範囲を教え、できる限り自力で行えるよう指導する

#8.経口摂取開始による排便コントロ-ル不良
  &下痢や便秘をおこすことなく規則正しい排便がある
  $経口摂取開始後~退院まで

O-1.排便状況(回数、量、性状)
  2.腹痛、腹部膨満感
  3.下痢または便秘を引き起こす要因(食事の内容や摂取方、精神的なもの)
  4.下痢時、脱水症状の有無(尿量、尿比重、口渇、電解質、頻脈)
  5.下痢時、肛門部のスキントラブルの有無

T-1.下痢または便秘の程度を把握し、必要時は医師の指示により止痢剤または下剤を投与し、その効果を確認する
  2.腹痛や腹部膨満感に対して、腹部の温罨法、メンタ湿布、マッサ-ジを行う
  3.脱水症状の程度に応じて、飲水摂取を促したり、医師の指示で輸液をする
  4.下痢時、肛門周囲の皮膚の清潔とトラブルの予防(ウォシュレット使用など)

E-1.術後の経過に伴い徐々に回復することを説明し安心させる
  2.毎日決めた時間にトイレに行き、排便を習慣づけるよう指導する
  3.食事はゆっくりよく噛んで食べるよう指導する
  4.冷たい物、刺激物、生物、消化の悪い物の摂取を避けるよう指導する

#9.栄養状態の変調
   [要因]・腸蠕動の低下
       ・貯留機能低下による消化吸収障害
       ・吻合部浮腫や瘢痕性収縮による運動障害
       ・経口摂取開始による腸蠕動の亢進による下痢

  &十分な栄養が摂取できる
  $経口摂取開始から退院まで

O-1.食事摂取量、摂取内容、飲水量の把握
  2.腹部状況(嘔気、腹痛、腹部膨満感)の有無、程度、出現の時期の把握
  3.排便回数、性状
  4.採血デ-タ(TP、Alb)
  5.体重の増減
  6.食事摂取に対する不安の有無、精神面の把握
  7.離床状況

T-1.腹部症状に見合った食事内容の提供
  2.適度な運動をすすめ、ベッド上で過ごす時間を少なくする
  3.指示にて消化剤、整腸剤、緩下剤などを投与する
  4.消化吸収のよい食品を選択する
  5.体重測定

E-1.時期がたてば食べられるようになるから焦らなくてもよいことを伝える
  2.胃腸の動きをよくするため適度の運動を行うよう指導する

#10.退院後の日常生活の不安
   [要因]・食生活パタ-ンの変化
       ・排便コントロ-ル

  &身体的、精神的に自立し退院に向けて準備ができる
  $退院まで

O-1.食事摂取内容
  2.食事摂取量と回数
  3.食事摂取の速度
  4.排便状況(下痢、便秘の有無)
  5.セルフケアの自立度
  6.患者の言葉、表情、行動
  7.睡眠状況
  8.疾病に対する患者の認識
  9.家族の協力体制(キ-パ-ソン)

T-1.患者が質問したり、気持ちを表出したりしやすい雰囲気をつくる
  2.家族の協力を依頼する
  3.退院後の日常生活に関して、受け持ち看護婦が中心に説明していく

E-1.栄養のバランスのとれた、消化の良い食品を選ぶ
  2.退院後の患者の環境や家族背景を考慮し、食事指導を患者と家族に行う
  3.規則正しい生活を送り、適度な運動を取り入れ十分な睡眠をとるよう心掛ける
  4.暴飲暴食を避ける
  5.排便コントロ-ルを整える
  6.定期受診、服薬指導を行う