すぽんさーどりんく

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ネフローゼ症候群患者の標準看護計画

ネフローゼ症候群患者の標準看護計画


ネフローゼ症候群とは

臨床症状からつけられた病名であり、大量の蛋白尿、低蛋白血症(低アルブミン血症)及び、しばしば浮腫や高コレストロール血症を伴う症候群と定義される。ネフローゼ症候群の病態は糸球体疾患の発症によって糸球体基底膜の著しい透過性が亢進し蛋白尿が出現する。これによって二次的に高脂血症や血液凝固能亢進が出現し、血漿膠質浸透圧低下基づく、水、ナトリウムの貯留が起こり、浮腫が形成されると考えられる。臨床的には原発性ネフローゼ症候群と続発性ネフローゼ症候群とに分けられ、成人の約80%が原発性ネフローゼ症候群で占められているが続発性ネフローゼ症候群にも多彩な原因疾患が認められ、最近難治性症例の増加傾向が認められている。

アセスメントの視点
 腎臓の最も主要な機能は糸球体における限外濾過と尿細管による再吸収、分泌により生体内部環境の恒常性の維持を図ることにあり、これが生命維持活動の基本に大きく関っている。腎機能は一度低下した場合、再び正常に戻すことは非常に困難なことが多い。ネフローゼ症候群の経過については、ほとんどの症例で先行症状を伴わずに発症し、完全寛解していくものから、再発、増悪を繰り返し難治性のものまで、病態は多彩である。

症状
 蛋白尿
高度の蛋白尿の場合は蓄尿時に泡沫が多く現れ、浮遊物も多く、多いときには20~30g/日の尿蛋白をみることもある
 浮腫
低蛋白血症により浮腫が出現
一般に浮腫は高度で全身に見られるが、最初は顔面、とくに眼瞼に強く現れる
 倦怠感
 高度なネフローゼ疾態の場合
・腹水、胸水の貯留、呼吸困難
・眼瞼浮腫により開眼困難
・皮膚の摩擦によるびらんや損傷
・食欲不振


ネフローゼ症候群の診断基準(成人)

1.蛋白尿
 一日の蛋白量3.5g以上を持続する
2.低蛋白血症
 血清総蛋白6.0g/dl以下
 低アルブミン血症とした場合は血清アルブミン3.0g/dl以下
3.高脂血症
 血清総コレストロール250mg/dl以上
4.浮腫  
(注)
1)上記の尿蛋白量、低蛋白血症(低アルブミン血症)は本症候群診断の為の必須条件
2)浮腫は本症候群診断の為の必須条件ではない
3)尿沈渣中多数の卵円型脂肪体、重屈抑脂肪体の検出は本症候群の診断の参考となる




検査
 [尿、血液一般検査]
  1.尿蛋白排泄
  2.血清総蛋白濃度(血清アルブミン値)
  3.血清コレストロール及び中性脂肪値
  4.血清尿素窒素値
  5.血清クレアチニン値

 [腎生検]
  1.鑑別診断に重要
  2.腎糸球体病理所見


治療
 1.安静療法  
血尿・蛋白尿・浮腫は安静にすることで軽減し運動負荷することで増加する 
腎血流量を増し、水、ナトリウムの排泄を促す為に安静臥床し保温につとめる
 2.食事療法  
低蛋白血症に対しては、高窒素血症の無い限り高蛋白質を考え、病状に応じて指示される。 
標準としては体重あたりの蛋白必要量 (1~2g/体重1Kg/日)に加えて、尿中排泄量を補う量が指示される。 
(病状により淡白制限されることもある) 
浮腫や高血圧の程度に応じて塩分量は制限される。体蛋白異化が亢進しないようカロリーも十分にとる。 
また、溢水のため腸管粘膜の消化吸収能力も低下し食欲不振となるため、少しでも経口摂取できるようにしていく。
 3.薬物療法  
蛋白尿を減少させるためには、抗炎症作用、免疫抑制作用を期待してステロイド剤が第一選択薬として使用される。 
その他、非ステロイド抗炎症剤や抗凝固療法(抗凝固剤、抗血小板剤、線溶解剤)、免疫抑制剤、再発予防として抗血小板剤、ステロイド大量投与療法(パルス療法)が行われる。


経過
 ネフローゼ症候群の発症は急性発症する場合と徐々に発症する場合がある。前者に微少変化群がありステロイドによく反応し、早ければ一週間~一ヶ月間で尿白尿が減少し浮腫も消失する。後者に慢性糸球体腎炎のネフローゼ型がある。高血圧、血尿、高窒素血症を伴ったネフローゼ症候群やステロイド療法に抵抗する場合は 腎炎に合併したネフローゼであることが多い。原発性か続発性かは発症の経過、ネフローゼ症候群をきたす疾患の診断、腎生検などにより明らかとなり続発性ネフローゼには糖尿病性腎症やSLEによるループス腎炎によるものなどがある。ループス腎炎でネフローゼ症候群を示すものは腎不全に移行しやすい。高蛋白尿を抑制する手段として用いられているステロイド剤や免疫抑制剤に反応せず病体の持続を示すようなものが難治性ネフローゼ症候群である。当然、対症的、保存的に管理されることになるので長年月にわたってその状態が持続し、それは腎障害そのものの進展をもたらし、不可逆性腎不全への過程を助長する他に予後を急激に変化させるようないろいろな合併症を併発することにもなる。

 合併症には、動脈硬化、感染症、血栓・塞栓症、貧血、低栄養、骨障害、腎障害1)急性腎不全 2)慢性腎不全への進行がある。なお、感染すると重症になりやすい。感染による体蛋白の異化が亢進し感染に伴う脱水が腎血流量を減少させ腎への負担増となる。

長期療法
 薬物による効果が望めないケースや、重症な状態のまま変化がない場合、苦痛や倦怠感の中で患者は事態が進展しないことに対し焦燥感をもち絶望的にもなる。悪化の徴候を見落とさず、患者に重症感を与えて精神的ストレスをもたらさないよう観察する。入院生活が長くなると治療の為長期欠勤や失職などを余儀なくされることもあり経済的基盤を失ってしまうなど、患者の社会的立場に変化をもたらすこともある。家族間の役割にも変化が生じ、夫婦や親子関係が不安定になることもある。また、学生は学校生活が制限される事により疎外感や将来に対する不安、危機感を抱くことも少なくないなど、患者はさまざまな問題を抱え込むことになる。





看護計画


Ⅰ.アセスメントの視点
 ネフローゼ症候群の症状は、疾患の種類におき多彩で寛解と再発を繰り返すことから、長期にわたって自己コントロールを継続していけるようにすることが大切である。それには、療養の方針を具体的に理解できるように患者に説明し、食事療法や安静が必要であること、生活習慣や環境を改善して適切な日常生活を送る必要があることを理解させ指導していかなければならない。また、心理的な面が自己コントロールに及ぼす影響は大きく、その心因性の源が何であるかを十分に見極め対処していかなければならない。


Ⅱ.問題リスト
#1.易感染状態
   [要因]・薬物療法(ステロイド剤、免疫抑制剤使用)による免疫力の低下
       ・疾患に伴う感染に対する感受性の増大、低アルブミン血症等

#2.低アルブミン血症による浮腫が出現し、異和感、倦怠感がある
   [要因]・血清アルブミン低下とナトリウムと水の腎排泄の減少
       ・薬物による二次的現象

#3.ステロイド療法による副作用が出現する可能性がある

#4.精神的ストレス
   [要因]・安静を強いられること
       ・疾病の長期化(ライフスタイルの変化)
       ・食事制限

#5.退院後の生活への不安
   [要因]・初めて経験する症状
       ・ネフローゼ症候群に関する病識の欠如、または不足
       ・治療方法に関する情報不足や誤った理解
       ・さまざまな制限(食事、運動、労働など)の継続
       ・社会的、家庭的立場の変化


Ⅲ.看護目標

1.感染を避けることと、感染の徴候や症状出現時、その重要性を理解し、治療を受けることができる
2.浮腫が消失し、諸症状の改善が図れる
3.薬物療法(ステロイド剤、免疫抑制剤)の重要性を理解し説明できる
4.さまざまな制限を守ることができ焦燥感なく入院生活を送ることができる
5.疾患及び、長期にわたる生活の自己管理の必要性を理解し、言葉で表現できるとともに自らも管理できるようになる


Ⅳ.看護問題
#1.易感染状態
   [要因]・薬物療法(ステロイドホルモン、免疫抑制剤使用による免疫力の低下
       ・疾患に伴う感染に対する感受性の増大、低アルブミン血症等

  &患者は感染予防に対する知識をもち、実施できる
   患者は感染の指票に関する知識と感染が起きた場合にすぐに訴えることができる
   患者は感染していないことを以下によって示す
    1)発熱がない
    2)正常範囲内のWBC
    3)正常な呼吸音
  $退院まで

O-1.バイタルサイン(特に発熱の有無、呼吸音)
  2.皮膚の状態;創傷の有無、発赤、腫脹、浮腫の強い場合は特に辱創の有無
  3.咳嗽、鼻汁、咽頭痛、咽頭発赤、嗄声の有無、性状、倦怠感等の感昌症状の有無
  4.検査データ(血液、尿、胸部X‐P)
  5.尿の性状
    1)混濁、浮濁物の有無
    2)膀胱炎症状の有無:排尿時痛、残尿感頻尿
  6.排便の状態;下痢の有無

T-1.保清
    1)状態に応じて石鹸清拭.洗髪等の介助
    2)爪を切る
    3)口腔内の保清、含嗽
    4)感染症のある人から患者を保護する
    5)栄養状態を良好に保つ
    6)必要時は医師の指示により抗菌剤を使用し、確実に投与する

E-1.感染予防の必要性について患者と家族に説明し、予防するためのケアに協力してもらう。
  2.感染症のある人との接触は避けるように指導する
  3.皮膚の保清の必要性と口腔内の保清のための歯磨き、含嗽励行の必要性を指示する
  4.陰部は清潔に保つように指導する(特に女性の場合は生理時また、女性の場合、排便時、排尿時は前から後ろへ拭くよう指示する
  5.手洗いの習慣をつける(食前、帰室時)
  6.傷があれば看護婦に報告するよう指導する
  7.食事、休憩(睡眠)を十分にとる

#2.低アルブミン血症による浮腫から出現する異和感、倦怠感
   [要因]・血清アルブミン低下とナトリウムと水の腎排泄泄減少
       ・薬物による二次的現象

  &浮腫が消失し異和感、倦怠感が消失する

   血清アルブミン値が正常または、正常に近い値になる(3.5~5.5g/dl)
   正常な体液量を保つことができる
    1)浮腫の軽減(0~4+のスケールで1+以下)
    2)胸水、腹水の消失
    3)体重の安定
    4)血圧の安定(患者の正常範囲)
    5)正常な呼吸音
    6)バランスのとれた水分出納
   高ナトリウム食品、高蛋白食につぃての知識を高ナトリウム食品を避ける理由を言葉で表現できる
   皮膚の状態が正常に保たれる
    1)発赤、腫脹がない
    2)皮膚のびらんがない
    3)皮膚の落屑がない→患者は皮膚異常が発生した場合にすぐ訴えることができる

  $第1段階7~10日 第2段階退院まで

O-1.検査データの把握
    1)血液データの把握(血清アルブミン値、血清総蛋白量)
    2)尿のデータ;尿量、尿蛋白、電解質、BUN、クレアチニン、CCr、炎症所見)
  2.浮腫の状態の観察
    1)体重の増減;必要があれば日内変動
    2)水分摂取量
    3)浮腫の部位;眼瞼、四肢、手指、外陰部
    4)圧痕の有無と程度(前頚部や足背部を指で圧迫する)
    5)腹部膨満の有無;腹囲の増減(腹水のある場合)
    6)呼吸状態(胸水の有無)
    7)皮膚の状態;皮膚の発赤、腫脹、びらん、疼痛、掻き傷、皮膚の乾燥、掻痒感
  3.バイタルサイン、特に血圧の変動
    1)自覚症状;倦怠感、呼吸音、四肢の脱力感、手指の異和感等
    2)投与される薬剤の効果の有無
    3)ナトリウム制限や利尿剤、降圧剤投与の結果起こる可能性のある低血圧、頻脈の有無
    4)患者の知識の程度

T-1.安静臥床する
  2.臥床時には下肢を挙上する
  3.腹水、胸水貯留のある場合はファーラー位や膝の下に枕を入れるなど体位の工夫をする
    必要に応じて体位変換をする
  4.皮膚の保清、保護介助を行う(浮腫のある部位の圧迫を防ぐ)
  5.保温に努める、湯タンポ、電気毛布を使用するが熱傷に注意する
  6.口渇を最小限にする為、頻回含嗽、氷方などで水分を摂取する
  7.医師の指示に従い、ナトリウム制限と水分制限をする
  8.指示された薬剤を正確に与える

E-1.安静の説明
    1)医師の許可範囲での運動量を守り、できるだけ安静臥床する
    2)安静の意義を説明する;腎血流量を増やすことにより腎臓への負担が軽減する
  2.利尿剤、アルブミン製剤等の使用に際してその意義を説明する(処方された薬剤についてその目的と用法)
  3.体液量過剰の理由、水分制限の必要性を説明する
  4.ナトリウム、高蛋白の治療食の必要性を説明する
  5.尿量が極端に少ない場合や自覚症状が強くなった場合は訴えるよう指導する
  6.皮膚損傷を予防するため、清潔保持の必要性と浮腫のある部位の圧迫を避けることを指導する

#3.ステロイド療法による副作用の出現
  &副作用が理解できた上で正しくステロイド剤の服用が行える
  $退院まで

O-1.ステロイドの副作用の出現に注意する
    1)感染病巣;易感染性に留意、WBCをチェック
    2)内分泌系;続発性副腎皮質機能不全、ステロイド性糖尿病;尿比重、尿のテステープチェック、口渇の程度
    3)消化器症状;潰瘍、悪心、嘔吐、腹部膨満感(便潜血の定期的なチェック)
    4)精神神経系;不眠、うつ状態、眩暈(夜間の睡眠状態)、CMIテスト結果、性格変調
    5)筋、骨格系;筋肉痛、関節痛(高齢者は骨折に注意)
    6)ムーンフェイス
    7)その他;顔面灼熱感、多毛、易疲労感
  2.ステロイド剤の服用が確実に行われているかどうか確認する

T-1.ステロイド剤開始後、しばらくは看護婦側管理とし確実に与薬する
  2.副作用に対する対症看護を行う
  3.ステロイド剤について医師の説明後、理解不足な点があれば補足する
  4.患者の性格、知識に応じた説明を行い、不信や恐怖心を抱かないように配慮する

E-1.服薬指導
    1)それぞれの薬剤の効果と副作用を説明する(薬剤部へ依頼)
     〈副腎皮質ホルモンの副作用について以下のことを説明する〉
      a.感染
      b.血圧上昇
      c.骨粗鬆症
      d.高血糖
      e.消化器症状(食欲亢進または低下、吐血、下血)
      f.精神的な変化
      g.睡眠
      h.ムーンフェイス
      i.皮膚症状(色素沈着、挫創、発疹)
     〈免疫抑制剤の副作用について以下のことを説明する〉
      a.感染
      b.異常な脱毛
      c.血尿を伴う膀胱炎
    2)用法、用量を守るよう説明する
    3)副作用と思われる症状出現時には医師または看護婦に速やかに報告することの重要性を指導する

#4.精神的ストレス
   [要因]・安静を強いられること
       ・疾病の長期化(ライフスタイルの変化)
       ・食事制限

  &安静の必要性を理解でき焦操感なく入院生活を送れる
   食事療法が理解でき守ることができる 無理なく食事が摂取できる
   疾病を理解でき焦操感なく治療、検査を受けることができる
  $退院まで

O-1.安静の必要性の理解が守られているかどうかの確認
  2.安静度の範囲の把握
  3.安静臥床による苛立ち
  4.疾病の理解の程度
  5.食事摂取状態;摂取量、残量のチェック、摂取不足の原因
  6.塩分制限が守られているか否かのチェック
  7.食事に対する不平、不満
  8.患者の嗜好、偏食の有無
  9.食事療法に対する考え方、関心度、理解度のチェック
  10.水分摂取状況
  11.不安の有無、表情、言動、睡眠状況

T-1.気分転換を図る
  2.検査時には状態に応じて車椅子で移動する
  3.栄養士、医師と連絡をとり、退院後の食餌療法の方針を立てておく
  4.医師より指示された高蛋白食を必要な量を摂取できるよう以下のように工夫する
    1)食事の温度を調整する
    2)食事一回量を少なくし数回に分けて摂取される
  5.できるだけ患者の好みを考えた食事療法が行えるよう栄養士、家族に協力を得る
  6.許可された範囲内で患者の好みの高蛋白食を持参してもらうように患者の家族またはキーパーソンに依頼する
  7.環境の調整
  8.患者の不安の軽減に努める
  9.患者の言葉に傾聴する。必要に応じてアドバイス、励ます言葉等を声かえする

E-1.安静の意義、必要性を説明する
  2.疾患について説明し、理解を促す。家族、キーパーソンにも理解を得てライフスタイルの変化について協力得られるよう説明する
  3.食事を摂取し栄養補給しなければならない理由を説明する
  4.患者、家族、キーパーソンに栄養士による食事療法の指導をする

#5.退院後の生活に不安がある
  [要因]・初めて経験する症状
      ・ネフローゼ症候群に関する病識の欠如、または不足
      ・治療方法に関する情報の不足や誤った理解
      ・さまざまな制限(食事、運動、労働など)の継続
      ・社会的、家庭的立場の変化

  &できるだけ不安を軽減し社会生活を送ることができる
  $退院まで

O-1.ネフローゼ症候群についての基礎知識の程度
  2.次のことに関する理解度のチェック
    1)食事療法
      a.食事療法に対する考え方、関心度
      b.現在の治療食に対する感想
      c.食事療法継続の自信
      d.家庭での食事準備者
      e.食事準備者の食事療法の理解度
      f.外食の有無と頻度
      g.嗜好品:酒、コーヒー等
      h.食事量、生食、食事時間
    2)退院後の運動量を把握する
      a.職業;労作度、通勤方法、残業、出張の有無と頻度
      b.日常生活;睡眠時間等
      c.趣味;スポーツ
    3)薬物療法
      ステロイドホルモンと免疫抑制剤の副作用についての理解度
    4)水分出納及び体重について
      体重と電解質バランスの徴候と症状についての知識の程度
  3.社会的家庭的立場と責任

T-1.患者とともに医師の説明を聴く
    1)退院後の運動許容量
    2)食事療法の方針
    3)病状
  2.悩み事や不安を表出しやすいように受容的態度で接する
  3.望ましい行動に対しては評価し、かかわりを強化する
  4.望ましくない行動を観察した場合には、単に否定するのではなく、その行動の根拠を確認し、どこが誤っているのか自ら気づけるように促す
  5.患者とともに達成可能な行動計画を立てる(退院に向けてのテキスト、パンフレットの作成)

E-1.ネフローゼ症候群について患者の理解できる言葉で説明する
  2.食事指導
    1)塩分制限;浮腫のある場合は厳重に行う
    2)高蛋白質;腎不全を伴ってくれば蛋白制限となる
    3)動物性脂肪の制限
    4)水分制限;浮腫のある場合のみ
    5)高カロリー食;肥満や糖尿病、体重増加傾向のある場合は異なる
    6)高ビタミン;高カルシウム血症のある場合は注意を要する
    7)規則正しい食生活を心掛け、暴飲暴食や欠食を避ける
  3.安静指導
    1)医師の許容する運動量、仕事量を守るよう指導する
    2)安静時間を取ることを心掛けるよう指導する
    3)規則正しい生活を送り、過労を避けるよう指導する
    4)浮腫のある場合は特に安静を守り、下肢に浮腫がある場合は臥床時には下肢を挙上するように指導する
    5)安静の意義を再度説明する
  4.服薬指導
    1)薬剤部への依頼
    2)服薬への理解 → 退院に向けて確認していく
  5.感染予防
    1)含嗽の励行
    2)感冒流行時は人込みを避けるように指導する
    3)皮膚の清潔を心掛けるよう指導する(特に浮腫がある場合)

てんかんのある患者の標準看護計画

てんかんのある患者の標準看護計画


発作の為外傷などの二次的障害をおこす恐れがある

♯発作を早めに察知することにより、患者の安全が図れ、二次的障害を残さず症状の改善が図れる

O-1.前駆症状の有無
a.精神症状;憤怒・不安・抑鬱・不機嫌・思考障害・強迫観念・幻視・幻聴様の体験・気分の高揚
b.精神性症状;恍惚・苦悩・既視体験・錯視・幻臭・錯聴・皮膚・内臓の異常感・疼痛・眩暈
c.感覚性症状;頭痛・頭重感・眩暈・しびれ感・体感異常
d.自律神経症状;内臓・上腹部・前頚部の異和感
e.自律神経性症状;睡眠・食欲・胃腸障害・皮膚の紅潮・蒼白

2.前兆の有無
a.視覚性;眼の前に光や玉がみえたり小視・大視症など
b.聴覚性;騒音・人声
c.自動神経性;嗅覚・味覚・内臓性・知覚性・運動性・血管運動性
d.精神的;恍惚・不安・苦悩

3.発作時
a.日時
b.発作がどのように始まったか
c.発作の型と変化
d.痙攣の様子
e.全体の時間的経過
f.意識消失の有無
g.外傷の有無
h.発作のあった場所

4.血液データのチェック;血中濃度

T-1.入院時、前駆症状・前兆についての自覚があるか確認しておく

2.前駆・前兆の自覚があれば発作を想定してもらい、どうするか患者とよく話しておく

3.発作時の処置等の指示を前もってもらっておく

4.発作時の処置
a.患者を安全な場所へ移送する;危険な場所、危険物が側にない限りそのままの位置とする
b.衣類による圧迫をさけるためベルトなどはゆるめる
c.硬く口を閉じている場合は無理に開口させないが、開口している場合は舌を噛むのを防ぐ為タオル・ハンカチ等を入れる。又は下額をおさえる
d.必要時には四肢を軽くおさえる;無理にはおさえない
e.全身けいれん終了時気道を確保する為に肩枕を入れる。又は顔を横に向ける
f.尿失禁があれば処理をする;患者のプライバシーを守る
g.医師への報告

5.記録

6.安静度の説明
a.病棟内フリー又は院内フリー;病棟外に出る時は看護師に連絡
b.入浴;一人で入浴可、看護師付き添い要、他患者と一緒に入る

E-1.前兆・前駆症状があった際は看護師に報告し安全な処理がとれるよう指導する

2.安静度として日常生活上守るべきことがあれば守れる様指導する


意識清明のようにみえても、もうろう状態のことがあり危険を伴う事がある

♯意識が完全に回復するまで転倒などの事故がおこらない

O-1.意識レベル
a.見当識
b.了解度
c.行動・言動
d.瞳孔・対光反射

T-1.意識が回復するまではできるだけ看護師が付き添う

2.不用意に呼びかけたり動きを止めるようなことはしない

3.ベット周囲の環境整備・ベット柵の使用

E-1.発作後はできるだけ安静臥床するよう指導する

発作を他患者に見られたことでいたたまれない気持ちになりやすい

♯不安な気持ち精神的なことを言葉として表現できることにより精神的安定を得られる

O-1.精神症状
a.抑鬱
b.劣等感
c.失望感

2.患者の訴え・話し方・表現・行動

T-1.発作中・後も看護師ができるだけ付き添う

2.発作中のことはそれとなく会話を持ち気にすることのないことを伝える又話をする機会をもつ

3.患者のプライバシーを保つように心がける

再発作に対する不安がある

♯不安を表現できることにより不安を持ったままで生活を送らない

O-1.不安の徴候
a.表情・行動
b.話し方とその内容

2.日常生活
a.食事摂取量
b.睡眠状態・寝つき
c.排尿・排便
d.水分摂取

T-1.訴えやすい雰囲気を提供する

2.訴えに対して抑制せず傾聴する

E-1.てんかんについてよく説明する
a.薬物療法と生活上の注意を守ることで、発作はおさえることが出来る
b.薬を飲む事を生活の一部に取り入れる

2.発作を誘発するような生活上の注意について指導する
a.過労
b.過食
c.怠薬
d.アルコール
e.発熱

3.入院生活上の注意・安静度について守れるよう指導する
a.行動範囲
b.入浴;一人で入浴可、看護師の付き添い要、他患者と一諸に入る

今後の生活に対して不安がある

♯疾患についての理解が出来る事により普通の生活が送れることを知る

O-1.どういう不安を持っているか

2.退院後の生活についての情報を得る
a.職業
b.一日の生活パターン
c.家族構成

T-1.患者と話し合う機会を多く持つ

2.職業については医師を含めて話をし仕事場、学校などとの連絡調整を行う

3.結婚についても医師を含めて話合う

4.家族の協力理解が得られるよう調整する

E-1.服薬をきちんとしていれば発作は抑えることができることを指導する

2.発作を誘発するような生活を説明し退院後の生活も含めて患者とよく話し合い指導する

長期に服薬をしなくてはいけないことに対しての苦痛がある

♯服薬の必要性が理解出来きちんと内服出来る

O-1.服薬の有無

2.副作用
a.中毒症状
b.歯肉の増殖

T-1.患者が自己管理できないような時は家族の協力を得る

E-1.服薬の必要性について指導する

2.口腔衛生に気をつける様指導する

てんかん特有の性格変化の為他患者・スタッフとのトラブルを起こしやすい

♯他患者とのトラブルを起こすことなく又周囲の人達と共同生活が出来る

O-1.精神症状
a.憤怒
b.不安
c.抑鬱
d.不機嫌
e.まれに気分の高揚
f.思考障害
g.強迫観念
h.幻視・幻聴様体験

2.知能低下

T-1.患者と論争しない、普段からスキンシップをとりくつろいだ態度で接し良い人間関係を作っておく

E-1.知能低下・話が回りくどいなどの性格変化があることを知りスタッフが接する

せん妄状態患者の標準看護計画

せん妄状態患者の標準看護計画


失見当識があり正しい判断ができない

♯二次的災害から患者を守ることができる

O-1.時と場所および自分自身や周囲の人物を正しく認識できているか
2.意識障害の有無
3.健忘性の有無
4.妄想性の有無
5.無感情性の有無
6.失認性の有無

T-1.患者の言動に細心の注意をする
2.常に看護師の視野の中に入れておく
3.状態に応じて医師へ報告し指示にて保護室を使用する


興奮・不穏状態により自傷・他害・器物破損行為が見られる

♯興奮・不穏状態がおさまり危険から脱する事ができる

O-1.日常生活行動
2.他患者との接し方
3.訴えの内容と行動
4.興奮原因を把握する
5.外傷・身体的異常の有無

T-1.普段から人間関係を保ち話しかけやすい雰囲気にしておく
2.訴えをよく聞きみだりに患者と議論したり感情的態度で接しない
3.落ち着いた態度で根気よく接し看護者は興奮にまきこまれないようにする
4.みだりに服従させる目的で力を用いない
5.説得の効果がある時は説得を試みる、それでもだめな場合は医師に報告する
6.周囲及び患者自身に危険がおよばないように配慮する
7.必要に応じ医師の指示にて保護室入室または部屋を交換し観察を密にする
8.必要に応じ医師の指示にて処置(与薬・注射)を行う
9.疲労が激しいので状態に応じて水分と食物の摂取を促す
10.看護者は複数で対応する


ADLを自分で行うことが困難になりやすい

♯日常生活を維持することができる

O-1.食事
a.食事摂取中の患者の状態
b.摂取量
c.間食摂取の有無
d.食事の残り物を持ち込んでいないか
e.水分摂取量

2.清潔
a.洗面・歯磨きができるかどうか
b.入浴できるかどうか
c.更衣できるかどうか
d.排尿・便のあとしまつ

3.排泄
a.所定の場所で排泄できるかどうか
b.排尿回数・性状・量
c.排便回数・性状・量
d.腹部膨満の有無

4.身辺整理ができるかどうか
a.環境整備ができるか
b.ベット周囲は整っているか
c.ゴミは所定の場所にすてられているか

T-1.食事状況を観察し誘導、必要に応じ介助を行う
a.摂取不可の場合には医師に報告し指示にてDIV・経鼻栄養・IVHなどを行う
b.食事時間内に無理に食べさせようとせず適時間食も利用して摂取を促す

2.清潔保持状況を観察し誘導、必要に応じて介助を行う
a.モーニングケア・イブニングケア
b.入浴への誘導・介助
c.必要時清拭・足浴・手浴・洗髪の介助
d.更衣を促しできていなければ介助
e.洗濯物の管理・家人への連絡

3.排泄状態を観察し誘導・介助をする
a.排尿;必要時、時間的排尿を促し、水分摂取量との兼ねあいを考え8時間以上排尿なければ、医師に報告指示を受ける
b.排便;腹部マッサージ・温罨法などを行う3日以上便秘すれば、医師に報告し指示を受ける

4.ベット周囲に危険物がないか観察し、危険物を除去し安全をはかる
a.環境整備
b.廊下等の床に水漏れがないか注意する

5.ベットからの転落を防止する
a.足切りベットの使用
b.ベット柵の使用