すぽんさーどりんく

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甲状腺機能亢進症患者の標準看護計画-042

甲状腺機能亢進症患者の標準看護計画





甲状腺機能亢進症とは

 甲状腺で過剰に甲状腺ホルモンが生成され、それが血中に分泌されることにより体内の代謝が亢進し、いろいろな臨床症状が生じた状態である。この疾患は糖尿病についで多く、女性は男性の4~5倍かかりやすく、思春期・妊娠時・更年期に多発し、夏季に増悪することが多い。甲状腺機能亢進症を生じる疾患のうち、我が国ではバセドウ病がその90%以上を占める。合併症としてはクリーゼ、悪性眼球突出症、甲状腺中毒症ミオパチー、甲状腺中毒性四肢麻痺、眼球麻痺、重症筋無力症、糖尿病がある。


アセスメントの視点

 適切な医療管理が行われていれば、甲状腺疾患は健康人とほとんど変わることのない生活を送ることができる。しかし治療しても治りにくいのも事実である。その治療は長時間を要することが多く経過も長い。患者がこうした疾患の性質を理解して治療を受け入れ継続するよう支援しなければならない。患者を支えるサポートシステムが確立されていることも治療継続に影響を及ぼすため重要である。


症状

 思春期から中年の女性に多い。主症状として眼球突出、甲状腺腫、心悸亢進があげられ、これをメルゼブルグの3主徴とよんでいる。このほか情緒不安定、手指に振戦、食欲亢進,体重減少、多汗、脱力、発汗、不眠、無月経があげられる。


検査

・ 放射性ヨード摂取率
・ 血中甲状腺ホルモン濃度(T3、T4)
・ 頸部・胸部X線
・ 甲状腺エコー
・ 甲状腺シンチグラフィー


治療

 1.薬物療法
1)抗甲状腺治療剤:
メルカゾール等、確実な内服が大切
2)パルス療法:
ソルメドール(合成副腎皮質ホルモン剤)この治療は集中的に行れるため治療期間は副作用(潰瘍など)の可能性は高いが、治療後においてまで持続することは少ない。
 2.放射線療法
I-131による内部照射
 3.手術療法
全身コントロールとして手術前ルゴールブロック、β遮断薬、ステロイドホルモン剤使用、抗甲状腺剤により基礎代謝率を正常に近づけてから手術へ



看護計画

Ⅰ.アセスメントの視点

 少しの活動でもエネルギーの消費が激しいため全身倦怠感が強く、食摂取してもほとんどが熱エネルギーにかえられるため体重減少、発汗も著しいことから、身体に必要な栄養分,水分不足となりやすく注意が必要。体力保持のためエネルギー消費を最小限にするような日常生活行動も大切となってくる。精神的に集中力の欠落や怒りっぽくなったり情緒の不安定となるため人間関係を保てなくなったり、外見上の変化(甲状腺腫、眼球突出、痩せなど)に対し悩みを持つことが多くサポート状況の把握、確立が必要である。上記に示すような症状は寛解や増悪を繰り返すこともあり、特に外傷、感染、妊娠、手術ストレスなど加わることで状態が悪化し甲状腺クリーゼを併発する可能性もあるため早期発見ができるための観察力が重要となる。


Ⅱ.問題リスト

#1.疾患や症状に対する不安
   〔要因〕・症状そのものへの恐れ
       ・症状からくる精神的苦痛
       ・検査や治療に対する情報不足
       ・病気の兆候(眼球突出、頻脈など)
       ・入院という慣れない環境
       ・社会的役割が果たせない

#2.疾患による苦痛
   〔要因〕・外見上の変化(体の大きさ、体型、顔貌)
       ・疾患そのものの苦痛
       ・自覚症状に伴う苦痛(痩せ、発汗、動悸、不眠)

#3.疾患進行による全身状態悪化
   〔要因〕・甲状腺クリーゼへの進行
       ・脱水による電解質バランスの崩れ
       ・新陳代謝亢進による体力消耗

#4.内服薬(メルカゾール)、パルス療法による副作用出現の予測
   〔要因〕・副作用の出現

#5.家族の不安
   〔要因〕・疾患そのものへの恐れ
       ・患者の予後や経済面への不安
       ・家庭内の役割の変化(サポートシステムの不足)
       ・患者と家族間の人間関係(コミュニケーション)


Ⅲ.看護目標

1. 疾患や症状に対する不安が軽減され安楽な入院生活が送れる
2. 苦痛の軽減が図れ体力消耗が最小限になる
3. 全身状態の悪化の予防と早期発見・対処がされる
4. 内服薬、パルス療法による副作用の予防と早期発見・対処がなされ苦痛が軽減する
5. 家族の精神的慰安がなされる


Ⅳ.看護問題

#1.疾患や症状に対する不安
  &不安が軽減される
  $退院まで

O-1.不安の内容
  2.ムンテラ内容,疾患の理解度
  3.コミュニケーション状況(同室者、医療従事者、家族)
  4.食事摂取量
  5.睡眠状況
  6.表情

T-1.訴えの傾聴
  2.ムンテラ内容の統一
  3.精神的ストレス増すような言動を避け穏やかに接する
  4.コミュニケーションを密にし、信頼関係を築く

E-1.医師の説明で理解不足の内容があれば追加説明し納得し治療が受けれるようにする
  2.不安な状態を表出してもいいことを伝え不明なところは質問するよう促す

#2.疾患による苦痛
  &苦痛が最小限に軽減できる
  $退院まで

O-1.食事摂取量
  2.in-outバランス、体重
  3.皮膚状態、湿潤、発汗
  4.精神状態の有無
  5.睡眠状況
  6.日常生活行動状況(安静状況)
  7.症状の程度
  8.検査データ

T-1.訴えの傾聴
  2.気持ちの休まるような静かな環境作りを心掛ける
  3.清拭と更衣を行い皮膚の保護と清潔を保つ

E-1.体力の消耗を防ぎ、心機能を保持するために安静を指示する
  2.眼球突出に対しては、サングラスをかけることで目立たなくすることができ、また光線や風・塵埃等から眼を保護することができることを説明する

#3.疾患進行のよる全身状態悪化
  &全身状態悪化の予防と早期発見、対処がなされる
  $退院まで

O-1.#2に準ずる
  2.バイタルサイン
  3.意識レベル
  4.消化器症状
  5.心不全徴候
  6.検査データ

T(甲状腺クリーゼとなった場合)
  1.暗くした個室に収容し、精神興奮状態の鎮静を図る
  2.危険の防止に努める
  3.全身の冷却を行い、体温を下降させる
  4.二次感染の予防

E-1.脱水・クリーゼの症状について説明し、異常時すぐ報告するよう指導する
  2.患者の状態や行われる治療についてよく説明する

#4.内服薬、パルス療法による副作用
  &内服薬、パルス療法による副作用の予防と早期発見・対処がなされる
  $治療終了まで

O-1.感染徴候
  2.胃部症状
  3.ムーンフェイス
  4.精神症状

T-1.DIV管理
  2.必要に応じて保清介助を行う

E-1.含嗽・手洗い等の感染予防行動について指導する
2.ステロイドの副作用に関する説明を行い、徴候があればすぐ報告するよう指示する

#5.家族の不安
  &家族ケア・家族サポートをとおして患者が支えられる
  $退院まで

O-1.家族の表情、言語による表現、態度
  2.家族と患者との人間関係
  3.家族、患者間の疾病の理解.認識の差
  4.家族間のサポートシステム
  5.家族の状況判断能力
  6.家族がとらえている患者の性格傾向、コーピング
  7.経済的問題の存在

T-1.家族とのコミュニケーションをとり、不安や心配事を表出しやすいように受容的態度でかかわる
  2.家族の考えと医療者の考え違いがないか、また患者の考えを尊重してかかわる方法について相談し検討する
  3.家庭内で起きている問題の対処ができているか,解決困難な時は相談にのる

E-1.家族が患者の今後についてイメージできるように、入院期間、社会復帰の時期等についての知識を与える
  2.家族に患者のサポートの必要性を説明する

甲状腺癌患者の標準看護計画-041

甲状腺癌患者の標準看護計画






甲状腺癌とは

 甲状腺癌は、体内の甲状腺刺激ホルモンの増加が原因とみられ、病理組織学的により乳頭腺癌・濾胞癌・髄様癌・未分化癌・悪性リンパ腫の5種類に分けられ、それぞれ臨床上の特徴など病態に違いがあるという特徴がある。
 比較的に中年の女性に多いがあらゆる年令層に生じ15才未満と50才以上には性質の悪いものができやすい。ほとんどの場合病名を告知される。また創傷が目立ち、場合によれば手術後に発声障害などを生じる可能性がある。


アセスメントの視点

 甲状腺癌の患者は、告知により生じる疾患や予後に対する恐れに加え、ボディイメージの変容に対する不安や発声障害など身体的機能の変化が社会的役割に及ぼす影響に対する不安などの精神面において多くの問題を抱えることになる。


症状

 最初、甲状腺部位に結節を触れるが明らかな甲状腺機能の異常はみられない。
癌が周囲の組織を圧迫し、浸潤することにより頚部の圧迫感、頚部痛、嗄声、呼吸困難、嚥下困難などが出現してくる。


検査

・ 触診
・ 超音波検査
・ 軟線X線写真
・ 吸引細胞診
・ CTスキャン
・ シンチグラフィ
・ 胸部X線写真(腫瘍の進展度)
・ 血液一般検査
・ 甲状腺機能検査(TSH,T3,T4,free T4)


治療

 1.手術療法
直径1~3cm以上は手術の適応となるが術式は症例によって異なる。術式には全摘、亜全摘(甲状腺の3分の2以上を切除)、葉切除、葉部分切除、岐切除、核出などがある。手術療法は、分化癌(乳頭腺癌、濾胞腺癌、髄様癌)が適応で、悪性リンパ腫は半数以上放射線治療で根治が可能であり、未分化癌はほとんどすべての例で根治的切除が出来ないことから手術の適応ではない。
 2.甲状腺ホルモン剤の投与
 3.抗癌剤の投与
 4.放射線(ヨード)治療


術後の経過と管理

 術後、特に問題のない症例では術翌日より経口摂取、離床を開始する。術後合併症として、血腫・気道浮腫・両側反回神経麻痺などによる気道狭窄の危険性があり、気管切開を要する場合もある。また、甲状腺全摘後や甲状腺切除範囲が大きい場合、手術後に甲状腺機能低下症や上皮小体機能低下による低カルシウム血症をきたし、テタニーを生じる危険性がある。
 そこで術後は頚部の腫脹、チアノーゼ、呼吸困難や手のしびれ感、口唇や舌のこわばり感などの症状の出現に注意し、症状が出現した場合は早急に対応していく必要がある。
 1.精神的サポート
甲状腺癌の患者はほとんど癌告知を受けていることに加え、創痛や身体機能の障害、ボディイメージの変容、合併症の出現などにより、多くの不安を抱えている。そのため術後の急性期を脱しても退院後の予期的不安など患者の不安は解消されない。そこで患者の言葉、表情、行動などに注意し、一貫した精神面へのサポートが必要である。
 2.疼痛の管理
患者は創痛に加え、創部の安静による頚部の筋緊張のための疼痛やドレーン刺入部の疼痛などが出現する。
痛みの状態を把握し、適宜鎮痛剤を使用しながら筋緊張をほぐす工夫を行っていく。
 3.呼吸器系の管理
手術中の気管内挿管による気道の圧迫や術後の出血による内頚静脈の圧迫などにより、気道や声帯の浮腫から気道閉塞をおこす危険性がある。また反回神経麻痺による誤飲や気道狭窄の可能性がある。そのため術後12時間は出血量をチエックし、気道閉塞症状の有無や、チアノーゼの有無の観察に努めていく必要がある。
 4.栄養管理
特に問題のない症例には手術翌日より経口摂取が可能となる。開始時は反回神経麻痺がないか確認し、誤嚥を起こさないよう注意する。
 5.SBバックの管理
SBバックは陰圧をかけた閉塞性のドレナージで、血液の凝固によりドレーン内腔の閉塞を防止するために検温毎にミルキングを行う必要がある。浸出液の減少を確認後、術後2~3日で抜去される。
 6.創の処置
術後創部にはガーゼがあてられ固定されており、術後2~3日目に抜糸され、ステリーテープで固定しておく。(ただし創感染がみられた場合などは異なる。)


術後合併症

 1.テタニー
上皮小体の損傷によるもので、血清Caイオンの急激な低下によって起こる。多くは一過性だが、甲状腺全摘後は永久性の低カルシウム血症を起こす。手のしびれ感、口唇や舌のこわばり感などが生じ、著しい低値になると痙攣や呼吸困難、意識障害を起こす。他覚的にはクヴォステック徴候やトルソー徴候によって確認できる。甲状腺癌では、術後2~3日目くらいに出現しやすく注意し観察する必要がある。
 2.反回神経麻痺
反回神経の損傷により嗄声をきたす。両側の反回神経を損傷した場合は、両側声帯が正中固定し、呼吸困難をきたし、気管切開が必要となる。反回神経を切断した場合の嗄声は永続的であるが、対側の声帯が正中位を超えて病側声帯機能を代償するようになるため、経過とともに症状の軽快をみることが多い。反回神経の圧性や浮腫、血腫による圧迫のため麻痺は通常2~3ヵ月で回復する。上喉頭神経を損傷した場合には、術後1週間前後で機能が代償され症状は軽快する。術後早期で創部の血腫や浮腫が著明な場合には誤飲により窒息の危険性があり注意を要する。
 3.術後血腫
頚部はデッドスペースが少ないため、術後の出血、血腫形成は気管を圧迫し呼吸困難をきたすことがある。術後創部の注意深い観察が必要であり、気管圧迫症状が強い場合には早急にドレナージ、再開創止血が必要である。
 4.甲状腺機能低下症
甲状腺全摘後は機能低下がみられ、全身倦怠感、むくみ、便秘、貧血、月経異常などの症状が現われる。血中のT3,T4の低下、TSHの上昇がみられる場合は甲状腺ホルモンの代償療法が必要である。



看護計画(術前)

Ⅰ.アセスメントの視点(術前)

 甲状腺癌の患者は、告知により生じる疾患や予後に対する恐れに加え、ボディイメージの変容に対する不安や発声障害など身体的機能の変化が社会的役割に及ぼす影響に対する不安などの精神面において多くの問題を抱えることになる。そこで患者の精神状態を把握し、その人の対処行動と対処能力を把握していくことが大切となってくる。
 未分化癌と悪性リンパ腫では臨床症状と検査で診断がつきしだい、放射線照射と抗癌剤投与を併用されることがすすめられる。摂食状況や倦怠感などの自覚症状を把握し、体重の変化や血液検査など客観的データを把握するとともに、身体的苦痛や治療に対する不安、手術が遅れることの焦りなど精神面に対する影響を把握することが大切である。


Ⅱ.問題リスト(術前)

#1.疾患や予後・手術に対する不安
   [要因]・疾患そのものへの恐れ
       ・病気の兆候(嗄声・気道狭窄症状)
       ・手術そのものへの恐れ
       ・検査や治療に対する知識不足による恐れ
       ・発声障害やボディイメージの変容に対する恐れ
       ・入院という慣れない環境
       ・社会的役割が果たせない
       ・手術後や退院後に対する予期的不安

#2.疾患による苦痛
   [要因]・気道圧迫による呼吸苦や違和感
       ・食道圧迫による嚥下困難
       ・肉体的外観の変容による精神的苦痛
       ・嗄声による精神的苦痛

#3.家族の不安
   [要因]・疾患そのものへの恐れ
       ・患者の予後や経済面への恐れ
       ・患者が癌であることを知っていることに対する恐れ
       ・家族内の役割の変化
       ・患者と家族間の人間関係


Ⅲ.看護目標(術前)

1. 疾患や手術の必要性が理解でき、手術や治療に向けて精神的な準備が出来る
2. ボディイメージの変容や身体機能の変化を理解し受けとめることが出来る
3. 術後合併症を予測し手術に対する身体的準備ができる
4. 家族を精神的に支える


Ⅳ.看護問題(術前)

#1.疾患や予後・手術に対する不安
   [要因]・疾患そのものへの恐れ
       ・病気の兆候(嗄声・気道狭窄症状)
       ・手術そのものへの恐れ
       ・検査や治療に対する知識不足による恐れ
       ・発声障害やボディイメージの変容に対する恐れ
       ・入院という慣れない環境
       ・社会的役割が果たせない
       ・手術後や退院後に対する予期的不安

  &検査と手術の必要性がわかり納得できたことを言葉に出して表す
   癌や予後に対する不安や悲しみを言葉や態度で表現できる
   ボディイメージや身体機能の変化をイメージできる
   ボディイメージや身体機能の変化により影響される社会的役割に対しどうすれば良いか自分の考えを言葉にすることが出来る
   術前のケアやセルフケア活動に参加できる
   夜間眠れたことを言葉で表現する
   術前術後の自分の状態がイメージでき対処行動を言葉で表現する
  $手術前日

O-1.入院への適応状況
  2.疾病、術前検査、手術に関する患者の情報量とその理解度
  3.表情、言語、態度の表出状況と不安の程度の関係
  4.食欲、食事摂取状況
  5.身体症状の有無と程度
  6.睡眠状況
  7.サポートシステムの状況
  8.性格
  9.対処行動と対処能力
  10.ボディイメージや身体機能の変化に関する理解度
  11.患者にとって外観、身体機能、ライフスタイル、役割の変化がもつ意味
  12.入院により果たせない社会的役割
  13.入院にともなう経済状況
  14.不定愁訴

T-1.病院の環境や、日課・きまりに関するオリエンテーションを行う
  2.静かで安らぎのある環境を提供する
  3.検査の方法や必要性をわかりやすく説明して協力を得る
  4.検査の結果や手術の方法について医師から受けた説明をどのように理解しているかを確認し、誤解があれば正しく理解できるよう再度医師に説明をお願いするなり、補足する
  5.機能的変化に対する注意点を説明する
  6.変化する外観に対し隠すようなファッションをいくつか紹介する
  7.家族の支援が得られるように家族の相談にのり信頼関係を高める
  8.不安を表出できるため以下のケアをする
     ①患者や家族の訴えをよく聴き、受容的態度で接する
     ②不安が表出できるよう、患者・家族と信頼関係をつくる
     ③癌に対する不安は、医師から十分説明が受けられるようにする
     ④静かで休息のとれる環境をつくる

E-1.患者が術後の状態をイメージできるよう説明する。特に嗄声の出現や、テタニー症状の出現について説明し、症状の出現時は速やかに看護婦に知らせるよう指導する
  2.気管切開が予想されるときは、術後発声が出来ないことや、吸痰を行うことなど説明する
  3.医師の説明に対する理解度を確認し不足な点誤っている点を明らかにし補足する
  4.不安な思いを表出してよいことを伝え、不明なところは質問するよう促す


#2.疾患による苦痛
   [要因]・気道圧迫による呼吸苦や違和感
       ・食道圧迫による嚥下困難
       ・肉体的外観の変容による精神的苦痛
       ・嗄声による精神的苦痛

  &身体的・精神的苦痛を最小限にとどめられる
  $-手術前日

O-1.呼吸状態、呼吸数、血液データ
  2.食事摂取状況、食事形態、体重の変化、血液データ
  3.仕事の内容、趣味
  4.外観に対する関心

T-1.呼吸しやすい体位の工夫する
  2.飲み込みやすい食事に転食する
  3.変化する外観に対し隠すようなファッションをいくつか紹介する

E-1.呼吸苦のある場合は激しい運動を控えるように指導する
  2.嚥下困難がある場合は飲み込みやすい食品の紹介し、いっきに飲み込まないよう摂取方法を指導する


#3.家族の不安
   [要因]・疾患そのものへの恐れ
       ・患者の予後や経済面への恐れ
       ・患者が癌であることを知っていることに対する恐れ
       ・疾患、検査、治療についての情報と理解度
       ・家族内の役割の変化
       ・患者と家族間の人間関係

幻覚のある患者の標準看護計画-040

幻覚のある患者の標準看護計画






体感幻覚があることにより、不安・焦燥感をきたしやすい

♯体感幻覚の訴えがある

-1.体感幻覚の訴えの内容と程度
2.被害関係念慮の有無
3.バイタルサイン
4.不安・焦燥感の有無
5.日中の行動・言動

-1.訴えを丁寧に受け止め、落ち着きある態度で患者が自分を受けとめてくれているという安心感を与える態度で接する
2.幻覚はあるが、患者に苦痛を与えている症状として対処する
3.レクリエ-ション等に参加させ健康面をひきだす
4.体感幻覚の訴えについて否定・肯定をしない態度で受け止める(否定は不信を抱き、肯定は確信を与える)
5.症状は一時的なものであり、服薬をきちんとすれば必ずよくなっていくことを伝え、安心感を与える
6.不安・焦燥感が強い場合、医師の指示にて抗不安薬・向精神薬などの投与をする
7.普段から人間関係を保ち、話しかけやすい雰囲気にしておく



体感幻覚により日常生活に支障をきたすことがある

♯安心して日常生活を送ることができるが

-1.日常生活の状況(食事・洗面・睡眠・更衣・入浴等)
2.ADLの程度。支障をきたしているところはないか

-1.支障をきたしている部分への誘導・援助を行う



体感幻覚により自閉的になることがある

♯自閉的になることなく、誰とでも良好な人間関係が保てる

-1.日中の過ごし方
2.他患者との接し方・態度
3.医師・看護婦との接し方

-1.看護婦側から回避せず患者の反応を観察しながら働きかける
2.患者と共に過ごす時間を多くする
3.患者の訴えには耳を傾けて関心をもって根気よく接する
4.患者のペースにあわせ信頼関係を養う、



体感幻覚により自傷・自殺・暴力行為をおこす危険がある

♯自傷・自殺・暴力行為等を防ぎ、安全な環境で過ごせる

-1.日中の行動・言動。
2.服薬の状況
3.興奮の有無・程度
4.興奮の原因
5.周囲の危険物の有無

-1.落ち着いた態度で根気よく接し、看護婦は興奮に巻き込まれない
2.危険物があれば患者の身の回りより排除し、安全な場所へ誘導する
3.危険性があれば予測される場合は観察を充分に行い夜間・多忙時は特に注意する
4.看護婦間の伝達をしっかりしておく
5.医師の指示にて鎮静剤の使用。場合により隔離室の使用も考える



意識障害と活発な精神活動により事故及び他患者の睡眠を妨げる可能性がある

♯患者・他患者の安全が守られ、かつ安心して入眠する事が出来る

-1.幻覚(特に幻視)の内容と出現時間・錯覚の内容と行動状態
2.昼間の睡眠及び行動状態
3.全身状態・VS

-1.患者の事故防止に努める
a.日中危険物を預かる
b.障害物を置かない
c.日中から患者の身の回りの持ち物の所在場所を把握しておく
d.夜間ベット柵を使用する
e.床に絨毯を使用する
f.夜間覚醒している場合は巡視を頻回に行い常に看護者の視野の中に入れておく
g.離棟した場合は「緊急事故発生時の手順」に従う

2.患者の睡眠を促す
a.せん妄体験は患者本人にとって本物だという事を念頭に置いて不用意な発言はしない
b.背部マッサ-ジ・湯タンポ等身体的安眠をはかる
c.受容的な態度でつきそい入眠を促す
d.どうしても入眠出来ない場合は医者に報告し指示を受ける

3.他患者の睡眠を促す
a.T-2施行してもせん妄がおさまらない場合は医者の指示にて保護室使用
b.翌日部屋替えを考える

4.せん妄の改善
a.原疾患の改善
*老年痴呆
*脳動脈硬化症
*代謝栄養障害
*向精神薬の副作用
*心理的ストレス

5.予測される行動
a.錯覚でベット上排泄する場合が多い
*事前にゴムシーツ使用
*身の回りの物は動かさない位置とする
*時間的排尿誘導
b.幻視により不安不穏が強い場合がある
*訴えをよくきいて現実にありえない事をさとす
*病院にいる事を常に思い起こさせる
*医師や看護婦に安全が保証されている事を確信させる



興奮・不穏状態により自傷・他害・器物破損行為が見られる

♯興奮・不穏状態がおさまり危険から脱する事ができる

-1.日常生活行動
2.他患者との接し方
3.訴えの内容と行動
4.興奮原因を把握する
5.外傷・身体的異常の有無

-1.普段から人間関係を保ち話しかけやすい雰囲気にしておく
2.訴えをよく聞きみだりに患者と議論するなど感情的態度で接しない
3.落ち着いた態度で根気よく接し看護者は興奮にまきこまれないようにする
4.みだりに服従させる目的で力を用いない
5.説得の効果がある時は説得を試みる、それでもだめな場合は医師に報告する
6.周囲及び患者自身に危険がおよばないように配慮する
7.必要に応じ医師の指示にて保護室入室または部屋を交換し観察を密にする
8.必要に応じ医師の指示にて処置(与薬・注射)を行う
9.疲労が激しいので状態に応じて水分と食物の摂取を促す
10.看護者は複数で対応する